一昨年の10月から昨年の4月まで、半年間の育休を取りました。
僕のいる会社では男性の育休取得率は低く、開発職となるとさらに低く、長期ともなるとそれはもうSSR級のレアケースとなります。
そんな中で育休を半年取った僕の立場から、経験談をまとめたいと思います。
結論から言えば
育休を取って本当に良かった!
と思っていますので、この記事が取得を検討されている方の後押しになれば幸いです。
育休を取ろうと思った理由
友人の体験談
僕より先に3ヶ月の育休を取った友人から
育休いいよー!
と聞かされており、元々興味はありました。
この時はまだ本気で取ろうと思ってはいませんでした。
妊娠中の妻の様子
妊娠中に妻が精神的に不安定になり、
お母さんやれる自信ないよ…
と言い出しました。
これは、1人にさせてはいけないな
と感じるようになりました。
多忙による体調不良
結婚する少し前から仕事で昇進して忙しくなり、体調を崩すことが増えました。
この状態で子どもが生まれて、夜泣きで睡眠不足にでもなったら、お互い倒れてしまうな
と思い、家族と自身の健康を優先させることにしました。
経験
本来なら妻にお願いするような家事育児も一通りこなす経験をしておくことで、将来妻が病気になったりした時のリスク低減になると思いました。
取得までの流れ
育休を取ると決めてから、実際に取るまでの流れは以下です。
上司に育休を取りたい旨を伝える(4ヶ月前)
↓
休業中の引き継ぎ先を決めてもらう
引き継ぎスケジュールを決める
関係者に連絡
↓
引き継ぎ
↓
人事部に休業関連の書類を提出
↓
育休開始
僕は4ヶ月前に連絡しましたが、早いに越したことはありません。
育休に関係なく出産前後は休みなども増えるかと思うので、妊娠安定期に入ったあたり(5ヶ月目くらい)で出産予定日と共に伝えるのがちょうど良いのではないかと思います。
子どもが生まれたら育休取るぞ!
と初めから決めている場合は、日頃から自分の仕事内容についてのドキュメントを整理しておくと、いざ取得となった時の引き継ぎが楽になります。
育休中の過ごし方
朝
子どもの夜泣きが激しくても、仕事に差し支えることはありません。
疲れがしっかり取れるまで、しっかり休めます。
12時近くまで寝ていた日もありました。
昼
子どもをベビーカーに乗せて、近場にお出かけしていました。
平日の昼は人気も少なくて穏やかな時間を過ごせます。
近いけど行ったことのなかった公園やお店など、3人で沢山の場所を巡りました。
夜
昼に買ってきた変わった食材を使って色々な料理を作ったりしました。
子どもが寝た後は2人でコンビニに行ってお菓子を買ってきて、のんびり晩酌しながらゲームをしたりしていました。
家事育児
産後のダメージがあるので基本僕が全部やるつもりでいたのですが、妻が
夫に任せて、私はダメな女だー(>_<)
となったので、無理ない範囲で普通にやってもらうことにしました。
分担は厳密には決めておらず、どちらでもできる状態を心がけていましたが、僕は水回りやゴミ周り、オムツなどを担当する機会が多かったように思います。
ついたあだ名は「汚物担当大臣」。
事前に妻と
お金のことは任せるけど、家と子どものことは私に決めさせてほしい
と話し合っていたので、子ども服などの選ぶ要素のあるものは任せるようにしました。
多分僕が選ぶと、アカチャンホンポあたりに行ってガサっと棚から取って来るような感じになっていたので、これで良かったと思います。
子どもの夜泣きが酷い時や、お互いの体調が悪い時は、ダブルノックダウンを防ぐため時間交代制で休むようにしていました。
職場との連絡
たまに僕の担当箇所についての質問が飛んできます。
本来は休業中なので仕事の相談を受ける義務は無いのですが、退職や病気ではないので、まあここは譲りどころかなと思います。
時間の取れる時に返答していました。
たまに人事部から郵便が届きます。
内容は給与明細とか給付金の振り込み予定とか。
質問がある時は人事部にメールで聞いていました。
数々の災厄
育休中に、様々な災厄がありました。
- 台風で家が壊れ、引っ越しをする
- 引っ越し先が未定なせいで保育園が決まらない
- 洗濯機が壊れる
- 飼い猫がエイズを発症して天国へ
- 新型コロナ発生
育休期間の半分以上は、これらの対応に頭を悩ませていた気がします。
10年分の災厄を一度に経験したような気分でしたが、それも時間の余裕があったから乗り越えられたと思います。
育休を取ってよかったこと
体調・メンタルが安定する
2人交互に休息を取れるので、辛いけど頑張らないといけないことがなくなります。
いざとなったら交代できるという安心感もあります。
これにより、楽しんで家事育児に臨むことができました。
家事育児が「当たり前」になる
毎日家事育児をこなしていく中で、僕にとってそれらは当たり前のことになりました。
手伝うとか頑張るという意識はなく、歯を磨くようにただそこにあるからやるだけで、ほとんど苦労も感じなくなりました。
「親」を休める
「親に休日は無い」と言われますが、夫婦間や周囲の協力があれば別です。
我が家では、1日のうち2時間くらいまではそれぞれ一人で自由に過ごしても良いルールにしていました。
僕はジムに行ったりオンライン英会話をやったり、妻はポケモンをやったり主婦仲間とランチに行ったりしていました。
時には丸一日時間を取って友人と遊びに行ったり、実家に子どもを預けて夫婦で旅行に行ったりもしました。
意識的に子どものいない時間を設けることで、良い気分転換になります。
夫婦共通の思い出ができる
子どもの成長を一緒に見守ることで、
今日こそ寝返りをうつか?うつか?うったァァァ!
なんてはしゃいだりして、その思い出を2人で共有することができました。
僕にとってこれらの思い出は一生の宝です。
お金の話
育休のメリットについて書いてきましたが、
休業しちゃって、お金は大丈夫なの?
と心配される方もいるかと思います。
簡単に、お金についてまとめておきます。
※情報は取得当時のもので、年々改善されているので、詳しくは厚生労働省のページをご参照ください。
育児・介護休業法について|厚生労働省www.mhlw.go.jp
育児休業給付金
休業中は、会社から給料が出ない代わりに、育児休業給付金がもらえます。
金額は、だいたいですが
・〜半年まで:給料の67%
・半年以降:給料の50%
となります。
注意点として、支給は2ヶ月に1度なので、最初の支給まで少し時間があることです。
会社の手続きのタイミング次第では3ヶ月くらい無給状態になることもあり得えます。
ずっと会社員で毎月給料のある生活をしていると、お金が振り込まれないことによる不安は大きいです。
予め生活費半年分くらいの貯金を用意しておいた方が、メンタル的にはだいぶ楽になります。
社会保険料の免除
上記給付金に加え、休業中は社会保険料の免除が受けられます。
これにより実質の手取りが増え、休業半年までの手取りは8割程度になります。
金額的には時短勤務を行う場合とさほど変わらないので、お金で困ることはありませんでした。
育休を取る人へのアドバイス
育休をこれから取りたい/取ろうと思う人に向けて、僭越ながらいくつかアドバイスを送りたいと思います。
家庭環境によっては全然当てはまらない人もいるかと思うので、参考程度に。
育休取得は法で定められた権利
うちの会社、育休取らせてくれるかな?
と不安の方もいるかと思います。
勤続1年以上などの細かい条件はありますが、条件さえ満たしていれば誰でも取得できます。
堂々と「取得したい」と伝えましょう。
いざとなったら人事部に駆け込む
露骨に嫌な顔をされたり、「これから困るよ?」なんて言われたりすることがあるかもしれません。
それでも取得を望むなら「絶対に取る!」という態度を崩さないことです。
- 企業側が育休を拒否することは違法になること
- 給付金なども全て調べた上で生活に支障が無いこと
- 今は家庭を大事にしたいこと
などを伝えましょう。
理論武装しておけば、何を言われても惑わされることはありません。
それでもダメなら人事部に連絡しましょう。
キャリア面のマイナスは覚悟する
育休の取得を理由に解雇や降格を行うことは違法になりますが、それでも現実的なキャリア面でのマイナスは避けられません。
直接的な処分は無くても、自分の休業中に働いていた他のメンバーとの経験値の差はどうにもできないからです。
地位や給料よりも、もっと大事なものを得られたと割り切ることが大事です。
他のことを頑張ろうとしない
せっかくの長期休みだから、復帰までにでっかいスキルを身につけてやるぜ!
なんてことばかりを考えていると、痛い目を見るので注意です。
僕は
育休明けまでに英語を話せるようになるぞ!
と目標を立てて毎日家事育児をこなしつつ勉強をしていたのですが、しばらくして妻が物凄く不機嫌になったため、目標を撤回しました。
家族といる時はそちらに集中し、一人の時間に趣味程度にやるのにとどめておいた方が良いと思います。
転職・退職は復帰後に
そもそも育休の取得条件には、
復帰が見込まれること
というのが含まれていますので、復帰前に退職してしまうと色々と問題になる恐れがあります。
(そもそもできるのか、どんな罰則があるのか、などの詳しい情報は調べていません)
復帰後しばらくはブランクがあり、仕事の勘が戻るまでは時間がかかります。
職場は育休明けであることを考慮してくれるので、少なくとも休業前と同じ状態に戻るまではリハビリに努めた方が良いです。
妻に勝てると思わない
育休中に家事育児を完璧にこなして妻よりもデキるようになるぜ!
なんて張り切らないことです。
妻は「母性本能」というレジェンド級のパッシブスキルを持っています。
妊娠前はあまり子どもに興味を示さなかった妻でさえも、子どもの変化にすぐに気が付くようになりました。
男性の「仕事術」や「時短術」なんてスキルはせいぜいSRくらいのもので、いくら頑張ったところで母の愛に勝つことは不可能と思っておいた方が良いです。
うちの妻は、
手伝ってほしいわけでも、代わってほしいわけでもなくて、一緒にやってほしい。
と言っていました。
2人で悩み、2人で解決していくという姿勢が夫婦の絆を深めるのではないかと思います。
まとめ
以上、僕の育休取得経験と考えについてまとめました。
育休取得にはキャリア面でのデメリットもありますが、長い目で見ればそれを上回るメリットがあります。
何より家族で過ごすこの期間は、かけがえのない一生の思い出になります。
全ての男性が堂々と育休を取れる世の中になってほしいと願います。
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