僕は、20歳の頃から皮膚筋炎という病気を患っています。
皮膚筋炎/多発性筋炎(指定難病50) – 難病情報センター www.nanbyou.or.jp
簡単に言えば、
免疫機能の暴走により、皮膚・筋肉・関節などに異常が出る病気
です。
基本的に一生完治することは無いと言われていますが、投薬や生活習慣の工夫によって、健康寿命を伸ばすことは可能です。
僕は今34歳ですが、毎日元気に暮らしています。
これまでの僕の経験を書くことで、この病気だと診断された方や、周りの人がこの病気を持っている方にとって、何かの役に立てれば幸いです。
発症前
この病気を発症する前、20歳までの僕は、比較的健康な子どもでした。
多少肌が弱くて、毛虫でかぶれやすかったりしたことはありますが、病気で学校を休んだことはほとんどありませんでした。
運動もどちらかと言えば得意な方で、運動系の部活に励んでいました。
発症
異常を感じ始めたのは、日雇いのバイトをしていた時のこと。
段ボールを解体しようとして、手の甲に擦り傷を負いました。
これは日常生活でも普通にあることで、特に珍しいことではありません。
しかしこの時は、傷の治りがやたら遅いことに違和感を覚えました。
普段ならカサブタになって1週間もすれば治るのに、ずっと赤く腫れたまま、傷も中々塞がりませんでした。
やがて、傷口の熱っぽさを全身に感じるようになりました。
前日に激しい運動をしたわけでもないのに、二の腕、背中、太腿が筋肉痛になりました。
手はガサガサになり、当初は皮膚科に行きましたが、処方された薬を使っても効果はありません。
そうこうしているうちに、毎日39℃程度の熱が出るようになりました。
肘や指が赤く腫れ、肘が曲がらなくなりました。
膝に激痛があり、支え無しでは歩くこともままなりませんでした。
近所の内科、大学病院を次々紹介され、数カ所目でようやく「皮膚筋炎」と診断されました。
先生曰く、診断の決め手は、
- CKと呼ばれる筋肉の破壊を表す数値が異常に高かったこと
- 指や肘の関節が赤く腫れていたこと
らしいです。
症状はかなり進行しており、このまま放置すると、あと3ヶ月くらいで肺に症状が出て、死亡するリスクもかなり高まると告げられました。
即日、入院が決まりました。
入院生活
入院してから間もなく、ステロイドのパルス療法が始まりました。
一回1000mg程度のステロイドを点滴する方法です。
1000mgは量としては非常に多く、この時期は副作用に苦しみました。
- 免疫力が弱まるため、口の中にカビが生える
- 夜眠れなくなる
- 食べても満腹感を感じなくなる
- お腹、顔周りに脂肪が付く
- 髪の毛が抜ける
筋力の衰えにより、階段の登り下りもまともにできない状態でした。
この先、一生このままなのかな、なんて考えたりもしました。
しかし、パルス療法を続けてしばらくすると、全身の腫れや痛みが引いてきました。
効果が確認できたとのことで、パルス療法を止めて、以降はステロイドの服薬治療に切り替わりました。
最初の服薬量は詳しく覚えていないのですが、50mgくらいだったかと思います。
その後も、日を追って服薬量は減っていきました。
副作用もだいぶ治まってきて、抜け毛もなくなりました。
病院内を自由に歩き回れるようになり、昼間は持ち込んだノートPCでゲームをプレイしたり、以前から興味のあった株のデイトレードに挑戦していました。(全然上手くいかなかったけど)
また、確実に快方に向かっている実感により、気持ちもすっかり前向きになりました。
いつまで生きられるか分からなくても、今を精一杯生きよう!
たくさん創作して、生きた証を残そう!
そんな自分の今の気持ちを忘れないうちに曲にしたいと思い、「それでも前へ」「Cross」などを作りました。
この2曲は、今でも思い入れのある曲となっています。
そして3ヶ月に及んだ入院生活は、ついに終わりを迎えることになりました。
退院後〜現在
定期的に通院してステロイドを服薬しながら、血液検査などの結果を監視する日々を送っています。
ステロイドの量は年々減っており、現在は4mgになっています。
当時あった症状は無く、強いて言うならやや風邪を引きやすくなったかな?くらいの感じです。
これから
今は無症状が続いていますが、今後いつ再発するか分かりません。
入院中に同じ病室にいた、同じ病気の男性は、50歳くらいで再発して再入院したと言っていました。
歳を取って体力や免疫力が衰えてくると、症状が出やすいのかもしれません。
ただ、いつ来るかわからないその時に怯えても仕方がないので、少しでも体力・免疫力を高く保てるようにしつつ、健康なうちに最大限に人生を楽しめるように生きたいと思います。
補足説明
お金の話
難病と聞いて、お金かかるんじゃないの?
と思われた方もいるかもしれません。
結論から言いますと、全く困っていません。
というのも、皮膚筋炎は指定難病なので、自治体に申請することで難病手当が貰えます。
金額は病状や自治体によるかもですが、僕の場合は月1万5千円をいただいています。
さらに、難病用の医療券が発行され、月の診療費と薬代が一定額を超えないようになっています。
保険の話
難病であることのデメリットとして、普通の生命保険・医療保険に入れないというのがあります。
先日、都民共済に入ろうとしたのですが、加入条件に「難病ではないこと」とあり、加入を諦めました。
持病があっても入れる保険もありますが、割高になるので、よく検討した方が良いかと思います。
僕は、保険の分のお金を積み立て投資に回して備えることにしました。
保育園の話
唯一、メリットを感じたのは子どもを保育園に入れる時です。
区役所に難病の医療券を提出することで、ポイントが加算され、希望が通りやすくなります。
これのおかげなのかはわかりませんが、第一希望だった保育園に受かりました。
終わりに
色々と辛かった時期の事もそのまま書きました。
この病気は結構レアなので、普通の病院では中々原因がわからないかもしれません。
とりあえず薬で様子を見て…というようなことが続くようであれば、別の場所で診てもらうのも手かと思います。
自分の身体に
「なんか普通じゃないぞ?!」
という感覚があれば、その直感はきっと正しいです。
この記事が、少しでも誰かの役に立ちますように。
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